ニュースの概要

スペイン北部ナバラ州にあるエロ=ロンセスバジェス菌類公園で、許可を取らずに野生きのこを採っていた2人が見つかった。現地の報道によると、押収されたのはヤマドリタケ、いわゆるポルチーニで、量は約11キロに上る。中には、決められた最小サイズに届かない小さな個体も混ざっていたという。この公園では採集に許可証が要り、1人が1日に採れるのは8キロまで。傘の直径が4センチに満たないものは採ってはいけない決まりだ。今回の摘発は、きのこという地域の資源を守りながら、観光や地域経済に生かしていこうとする取り組みの一端として報じられている。

引用元: ナバラ州の菌類公園で無許可採集、ポルチーニ11キロを押収(Noticias de Gipuzkoa)

分析・見解

8キロの上限と4センチの下限が守っているもの

きのこの本体は、地面の下に広がる菌糸(=糸のような細胞の集まり)である。地上に出てくる部分は、植物でいえば果実に近い。だから採集は、木を切ることとは違い、条件次第で毎年続けられる。ただし、傘が開く前の小さな個体を大量に摘めば話は変わる。胞子(=きのこの種にあたる粒)が飛ぶ前に、次の世代を持ち去ってしまうからだ。ポルチーニは欧州で料理人にも愛好家にも人気が高く、採る人が集中しやすい種でもある。

傘4センチ未満の採取禁止は、その最低ラインを決めたものと読める。1人1日8キロの上限も同じ発想で、特定の人が短時間で採り尽くすのを防ぐ。さらに、自家消費の範囲と商売目的の採集を分ける線にもなる。

11キロという数字から見える、摘発の本当の焦点

今回の押収量は約11キロ。単純に2人で割れば、1人あたり5キロ台である。仮に二人とも許可を持っていれば、量だけなら上限の内側に収まった可能性がある。つまり問題の中心は「採りすぎ」だけではない。許可を取らず、決められたサイズに満たない個体まで混ぜていた点にある。

ここに、この種の規則の性格が出る。量の上限は守りやすいが、サイズの下限は現場で一つずつ見て判断するしかない。摘発とは、数字を守らせる作業であると同時に、採り方の作法を守らせる作業でもある。

許可制は、禁止ではなく数えるための仕組み

許可証の大きな役割は、収入を得ることよりも、森に誰がどれだけ入っているかを知る入口になることだ。入場者数や採取量の見当がつけば、不作の年に上限を下げるといった調整ができる。スペインのカスティーリャ・イ・レオン州でも、採集区域を決めて許可制で管理する仕組みが運用されている。イタリアの各州でも、許可と1日の採取量の上限を組み合わせる例が多い。日本の松茸山が入山料を取って入る人を限るのも、同じ考え方である。欧州では、自由に採れる時代から、記録して管理する時代へ移りつつある。

取り締まりの見せ方が、公園の信頼を左右する

広い森を少人数で見回るのは難しい。すべての違反を見つけることはできない。それでも摘発を公にする意味は大きい。正規の許可を取って採る人にとっては、守った人が損をしないという安心につながるからだ。逆に、無許可でも見逃されると広まれば、ルールを守る人から先に離れていく。

今後は、電子の許可証や、その日の残り枠をスマートフォンで確認できる仕組みが広がるだろう。罰する前に、迷わず守れる環境を整えられるかが問われる。

ビジネスへの影響

採集ツアーや宿は、許可の案内まで含めて商品にする

きのこ狩りを売りにする事業者にとって、今回の件は他人事ではない。知らずに無許可で採った客が摘発されれば、客も事業者も信用を落とす。出発前の資料には、許可証の取り方、1日の上限、傘の大きさの下限を、写真つきで載せておきたい。許可料をツアー代金に含めるか、別立てにするかも決めておくと、当日の混乱が減る。許可証の手配を代行するだけでも、客にとっては安心という価値になる。宿や飲食店は、客が採ったきのこを調理してよいか、量の目安はどうかも、あらかじめ決めておくとよい。

資源を看板にするなら、数字で説明できる運営を

きのこや山菜を地域の魅力にしたい自治体や団体は、採取量と入山者数の記録から始めるとよい。サイズの基準にも、なぜその大きさなのかという説明を添える。許可料の使い道を、巡回や道の整備として公開すれば、利用者は納得して払いやすい。小さな地域なら、紙の台帳でも構わない。続けて記録したものが、不作の年に上限を決める根拠になる。

仕入れ側は、産地と許可の確認を習慣にする

野生きのこを扱う料理店や卸売業者は、仕入れ先に採集許可の有無と採取地を尋ねる習慣を持ちたい。規則に反して採られた品は、小さな個体が多く混じるなど、品質のばらつきも出やすい。取引の際に、採取日、採取地、採取者の名前を伝票に残してもらうだけでも違う。書類のやり取りは手間だが、万一の回収や評判の傷を避ける保険になる。価格だけで選ばず、説明できる産地を選ぶ姿勢が、長い目で見れば取引の強みになる。

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